想いを持って独立したはいいものの、多くの技術者が悩む「仕事の探し方や取り方」。独立して活躍する技術者たちは、どのように仕事を見つけ、どのように受注確度を上げて、事業を軌道にのせていったのでしょうか。今回は独立して立ち上げた株式会社DCTAにて製造系コンサルタント業務やIoTソリューション導入などに取組む、畠山氏の事例を紹介します。
独立・起業のきっかけ
独立・起業のきっかけは3.11。自身の復興ボランティア経験から、放射線の一種・γ(ガンマ)線を遮蔽できるフレキシブルコンテナバック(粉末状のものや廃棄物などを保管・運搬する包材)開発を始めたのがきっかけでした。
フレキシブルコンテナバックの開発に加え、製造系コンサルタントや工場再編、海外設備増強、生産管理システムの開発・導入も事業に加え、満を持して独立。独立時は「経歴や経験、実績、コンテンツは十分なので、すぐに実益に結びつくだろう」と思っていたものの、実際はそう簡単に製品やサービスを採用していただけず、仕事につながらない日々が続きました。
前職のご縁で提案しに行っても、大企業になるほど保守的で、コストパフォーマンスがどれだけ高くても見送られるケースがほとんど。製品や提案が採用になったケースでも、企画規模が大きくなるほど開発時間もかかるため入金までの期間は長くなり、キャッシュフローは厳しい時が続きました。
そこで、入金までの期間が短い製造系コンサルタントサービスと、期間が長い工場改善・生産管理システム導入を組み合わせることが重要と考え、営業方法や仕事の取り方を工夫。その結果、契約確度も向上し、仕事につながるケースが増えました。
前置きが長くなりましたが、私の経験を踏まえ「技術者がすべき、仕事の探し方や取り方」を紹介していきます。
【1】ホームページの作成
まず行ったのは企業ホームページの作成です。作成にあたり、会社のポリシーや事業を洗い出し、取り組みたいテーマの棚卸しをしたことは大切な作業でした。
ホームページの作成には、事業課題を解決でき得るサービスや製品を探している企業に、自分のサービス・製品を知ってもらえる機会が増えるというメリットがあります。また私の場合、独立後の取り組み事例などを業務内容と併載することで、検討中のクライアント様のイメージが膨らみ、商談スピードも上がりました。
【2】SNSの活用
SNSの活用もキーとなる行動の一つ。Twitter、Instagram、Facebook、Linkedlnなどで、ぜひホームページや取り組み事例を紹介しましょう。私も活用しましたが、これにより露出が増えて拡散力も高まり、導入技術についての問い合わせが増えました。拡散力は想像以上で、海外からの問い合わせも少なくありません。
【3】独立前の縁
独立前の縁が仕事につながるケースも多々あります。ここでポイントとなるのが、独立後の挨拶。「独立しました」では意味がなく、「こんな技術とコンテンツがありまして、この分野でお役に立つと思います」と、事業の強みをプレゼンするように心がけてみてください。
顧客の業務内容や長短所をある程度理解した上で、自分の技術がマッチするような内容にすることが大事です。
【4】新しいコミュニティへの参加
新しいコミュニティに参加してみることも、とても大切です。私も前職のつながりなどからNPOや一般社団法人への参加案内がきました。最初はお付き合いのつもりで参加しましたが、会社員時代には出会えなかったような企業や団体との接点ができ、とても大切な財産となっています。
場合によっては講演の機会をいただくなど、ビジネスチャンスにつながることも。直接は仕事に関係なさそうなコミュニティへの参加も、視野を広げたりご縁につなげていったりするために、重要だと感じています。
【5】国内にこだわらず、海外に視野を広げる
会社員時代に海外勤務経験があったおかげで、いまは中国・マレーシア・インドネシア・ベトナム・カンボジア・ミャンマー・シンガポール・アメリカ・トルクメニスタン・アブダビ・ロシアなどの国でもビジネスの機会をいただいています。
「仕事を探す」となると国内に目を向けがちですが、海外とのつながりがある方はぜひ、国内にこだわらずご縁を探してみましょう。
私は前職で知り合った方と、SNSを活用してやり取りを継続していました。「ちょっとごはんでも」と、気軽にランチミーティングができる関係性も多く、その場で仕事が決まるケースもあるほどです。
最近は通信デバイスやアプリの進化で遠隔での打合せでもストレスなく進み、コストや時間の問題も解消しています。今や「オフィスは不要では?」と思うほどです。
【6】顧問・コンサルタント先紹介サービスへの登録
独立当初は、ご縁や実績から仕事をいただくのに苦戦する時期もあるでしょう。そんな時は業務委託として取り組める仕事先を、専門サービスへ登録して紹介してもらうという手もあります。自分の持つ技術知見を活かした案件が、希望の勤務日数(週5回、月1回など)に応じて紹介されるので、会社員時代とは違った働き方が可能となります。
直接仕事をいただくよりも、サービスを介すため多少もらえる金額が減るのはデメリットですが、お客さまの開拓が苦手な技術者にはおすすめです。
最も助けられたのは“人とのつながり”
ここまで仕事の探し方や、受注確度の上げ方を私の事例をもとに紹介してきました。いろいろと方法がありますが、最も重要だと感じるのは「人とのつながり」です。
良い提案でも予算決裁や技術採択のステージでスピードダウンすることは珍しくなく、受注が決まるまでの自身の業務活動費も安くはありません。そんな時、「ありがたい!」と感じたのは、様々な分野で活躍されている方々とのつながり。別々に知り合った方同士がたまたまつながっており、仕事の受注がうまくいったり、人が人を呼んで新たなビジネスがうまれたこともありました。
人と人のつながりでビジネスチャンスが広がり、またお客さまとして出会った企業の製品が弊社のプロジェクトの重要部品になったり、とても有益なプログラムソフトをお持ちで活用させてもらったりと、クライアントであると同時にベンダーにもなることも。日々、ご縁の大切さを感じています。
独立したばかりの頃は収入の見通しがたたなかったり、仕事の受注状況が芳しくなかったりと苦しむこともあるかと思います。私の例が参考になれば幸いです。
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