技術者のキャリア形成や選択、独立してからの本音をリプル代表の佐藤が伺うインタビュー企画。今回は本田技研工業株式会社出身で現在は個人事業主として活躍する、自動車業界一筋の中村氏にお話を伺います。

プロフィール

中村 光勇(Mitsuo Nakamura)

69歳。現在は個人事業主として活動。

多年に渡る自動車会社においての研究開発を通じ、研究開発戦略、新技術へのチャレンジ、及びマネージメントを習得。英国駐在時代には、市場品質解析とサプライヤを含む工場の改善や指導、海外での会社運営を経験。

帰国と同時に関係会社への転籍後、ゴム機能製品の開発と工場の運営、また常務役員職としてドイツの会社との提携を含め、企業経営にも携わった経験を持つ。

個人事業主としての技術者の働き方

働き方の変化を求め、フルタイムではない働き方を選択

佐藤:中村さんは現在、個人事業主としてご活躍されているのですね。個人事業主としてのキャリアは長いのですか?

中村氏(以下、中村):自動車産業一筋で3社にて60歳まで働き、退職してから個人事業主を一度始めました。研究開発分野でこれまでのキャリアを築いてきたので、それを活かすような業務をしていました。

佐藤:10年前に個人事業主デビューをされたのですね。始めてからはどんなことに苦労されましたか?

中村:常勤以外の働き方を求めて多くの人材サービスに登録していましたが、なかなか年齢の壁は大きく、単発案件などを含め個人的に求めているものはない状態でした。

ご縁をいただき、当時61歳という年齢にもこだわらずに、外資系の自動車部品の会社に常勤としてお世話になりましたが、通勤に片道2時間以上を要しました。そのため、家に帰るのは早くて夜の9時という生活をずっと続けていました。

もう少し身体に負担をかけ過ぎずに、良い意味で仕事を楽しくやりたいと思い始めて、“週に数日だけ働く”という働き方をしようと思い始めました。そこで知人から、企業の技術案件に顧問やプロの人材として技術者を紹介する、リプルさんのサービスを紹介してもらいました。

佐藤:リプルを通じて、いろいろな仕事をしていただいています。

中村:最初はセミナー講演の仕事でしたね。その後リピート依頼をいただけるようになり、とある企業で技術のコンサルタントとして仕事をさせてもらうことになりました。ありがたいことに、その後他社さんからもオファーを頂戴しまして、いまは少し自分で仕事を選べる状態です。

材料メーカーの業界環境変化が、中村氏への仕事依頼につながる

佐藤:中村さんには企業から仕事の依頼が多数来ています。理由はもちろん、仕事ぶりが素晴らしいというところが前提としてあります。また中村さんの経験してきたことが時代背景としても、とても求められていることも理由です。

現在、化学材料メーカーは、単なる原材料の供給ではなく、実際の製品をどのように適合させていくか、あるいはEV時代において自社で製品そのものを製造し供給する可能性を探ってる例が多く見られます。

実際に材料や部品メーカーは、EV化を契機にコンシューマーに一歩でも近いところに行きたいと思っています。

それぞれの階層でレベルが異なる顧客へ、ソリューション提案ができるメーカーが今後生き残っていく時代が来ています。

中村:業界の動きは近年加速していますね。材料メーカーがそのようなことを求めているという事実を、リプルさんで仕事をいただいてから初めて知りました。

技術者は人材サービスをどう選ぶ?

佐藤:先ほど他の人材サービスも利用したという話をされてましたが、中村さんとしてリプルと他社はどのように違いますか?

中村:まず、一般的な人材サービスは常勤案件が基本になっています。中には外資でフレキシブルにテレビ会議で仕事ができるような会社もありますが、まだごく一部です。まだまだ自分に合った仕事を見つけるには時間がかかります。

対して、リプルさんでは担当者の方と初めてお会いしてから、あっという間に最初の仕事が決まりました。早い上に個人的に希望していた月数日かの仕事ですので、リプルさんを通した仕事は楽しいです。

時間に少し余裕ができることで、どういうことで自分が役立てるか、お客さんがどんなことで悩んでいるかを余裕を持って考えることができています。

佐藤:ご満足いただけていて何よりです!

中村:そうですね。独立後、常勤でバリバリ働きたいという人も一部いるかもしれませんが、私のように無理のない範囲で働きたいという人もいます。

リプルはそういうニーズをしっかりと捉えてくれるし、案件の選択肢もたくさんあります。特に大企業とのパイプが強いことには驚きました。とてもお世話になっているので、あとは迷惑をかけないように、顧客に満足のゆく仕事となるようにセルフマネジメントをしっかりしたいです(笑)。

自分でこういうのもなんですが、世の中には、少しは役に立てる年寄りが多くいると思います。年齢だけで雇用関係や契約関係を断念させることは、とてももったいないです。私も年金だけもらっていても社会的貢献ができないので、このような機会を創っていただけたリプルさんには、とても感謝しています。

日本の製造業で働き方の多様化が進まない理由

佐藤:日本の製造業はまだまだ働き方の多様化が進んでいません。普段、営業活動をしていて思うのは、正社員契約と業務委託契約の違いに対する理解が進んでいないということ。例えば、企業が抱えている課題を解決できれば、その業務を担当する人はたとえ月に2日の出社でもOKだと思うのですが、別の雇用概念がネックになることは多いですね。

業務内容によっては、働いた時間にフォーカスする評価の仕方だけを採用すると、その会社にとって大きな機会損失をするのではと思っています。

実際に弊社のサービスを使っていただけると、スポット的に勤務する形でも実力があれば効果のほどが明確に出て、結果的にクライアントからはとても感謝されます。作業時間ではなく、課題解決に対してお金を払うということの価値に気づいてくれるからなんですよね。これからもどんどん啓蒙活動をしていきたいです。

会社員時代と、現在の働き方の違い

佐藤:中村さんは、もともと思い描いていた働き方を実現したことによって、どのような変化がありましたか?

中村:以前は通勤に往復4時間以上かかり、そのうえで1日8時間会社におりました。課題は山ほどあり内部の改革も必須の状態でしたので、当時役員というポジションだったこともあり、当然早々に帰宅などできない状態でした。

家に帰ってお風呂に浸かり寝るだけといった感じの生活で、とにかく仕事優先の状態が続きましたので、モチベーションを保つためには環境の変化が必要だとは認識していましたね。

現在は少しは時間的なゆとりもできて、スキーや旅行に出かけたり自宅でギターを弾いたりする時間も確保できるようになり、心身ともにより一層健康になりました。

独立を考えるものづくり技術者へのメッセージ

佐藤:ありがとうございます。中村さんが独立をこれから考えている技術者に伝えたいことを教えてください!

中村:サラリーマンの職務は基本的にピラミッド組織になっています。大手に長年勤めていると勤続年数が長くなればなるほどそれなりの役職につきます。

しかし、独立となるとそんなことは一切関係ありません。今まで自分が何をしてきてどういう知見があって、お客さんに対して何ができるかということが大事です。慢心や誤解をしない方がいいですね。

過去にしがみつかず、常に新鮮な気持ちでお客さまの困りごとを理解し解決する、そのためには自ら学び、常に考えてアウトプットして行くことが大事です。

佐藤:技術はもちろんのこと、マインドや姿勢が大事なのですね。中村さんがこれからやっていきたいことはありますか?

中村:新しい案件を受けることで、自分ができることの深さと広さの両方をもっと出していきたいですね。

当然ながら、これから新たに勉強が必要な案件も出てくると思いますし、それこそが己に対するチャレンジだと思ってます。今はインターネットがあり、なんでも素早く勉強できる時代。世の中の役に立って行くためにも、専門領域の知識を深めるとともに知識の幅を広げられるよう、勉強はしっかり続けていきたいです。

そして何より楽しく仕事をしていたいですね。

大きい話をすると、日本が中国やアメリカに対抗していけるような体力のある国にしていきたいです。そこで自分なりに若い人たちや企業、そして日本に対して役に立っていくこと、結果的には何かを残していくということをしていけたら幸せだと思います。

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